94:事実上の「終日走行禁止」

2017年1月17日 あさひかわ新聞 北京あれこれNo.94
 昨年十一月、自家用車のバッテリーを交換した。我が家の車は二〇〇一年製の「夏利(中国名:シャアリ)二〇〇〇」。私が知る限り三回目のバッテリー交換だ。
 その数日後、友人からメッセージが届いた。「二〇一七年二月十五日から、排気基準が『国Ⅰ』と『国Ⅱ』の車は、平日及び(大気汚染が)オレンジ、レッド警報の発令日は走行不可に。要注意」。慌てて自車を調べると国Ⅱ基準、制限対象だった。
 つまり、すべての平日午前三時から深夜零時までと、週末でも大気汚染がひどい日は、運転できなくなるというのだ。現在も週のうち平日一日は走行制限されているが、早朝七時から夜八時までなので、時間をずらせば対応できなくもない。しかし、深夜の三時間だけでは、事実上の終日走行禁止だ。走行可能な日が年間三百日から百日程度に圧縮されるのに、税金や保険は一切減額されないというのも納得いかない。
 制限区域である環状五号線内から自宅と職場を移転することは、現実的に不可能。今すぐ新車に買い換えるか、それとも車を手放すか、選択を迫られた気分だ。
 北京では二〇一一年から、大きな社会問題である渋滞緩和のために、マイカーのナンバープレート抽選制度が実施された。これによってナンバーの発行枚数は年間二十四万枚に限定されたが、マイカー取得希望者は増え続けている。つい最近の抽選確率は七百八十三分の一という高倍率だった。北京ナンバーはますます貴重になっているのだ。
 廃車にしてナンバーを返上すると、八千元(約十三万五千円)が支給されるが、北京ナンバーの価値はそんなものではない。闇のマーケットでは年間二万元(約三十三万円)程度でレンタル(名義貸し)されているとも聞く。
 名義人である私が新車に買い替える場合は、抽選なしの既得権で新たなナンバーに変更が可能だ。しかし廃車にすると、ナンバーも廃止され、私の権利も消滅する。将来また自家用車を購入するときは、抽選に当たるのを待たなければならない。
 新車に買い換えるという選択肢は、今の私にはない。権利放棄を覚悟して、車体も古くなり極端に走行が制限された愛車を廃車にするしかないということだ。
 夫が遺してくれた車を手放すのは忍びないが、時代の流れには逆らえない。いつ車を手放すか、あとはそのタイミングだけだ。(おわり)

投稿者:

nanben

北海道旭川市出身、北京在住。