22:清明節の「焼紙」

2013年4月9日 あさひかわ新聞 北京あれこれNo.22

今年の清明節(旧暦2月14日)は、4月4日だった。清明節は中国の伝統的な祭日で、元宵(上元)、清明、立夏、端午、中元、中秋、夏至、除夕の八大祭日の一つだ。2008年に法定休日となり、2009年からは土日の振替制度を使った三連休となった。高速道路も三日間、通行無料となる。 清明節は日本のお盆に相当する意味合いが強い。数年前の清明節に義父母の生まれた寒村に行ったとき、土葬で盛り土された墓の前で、紙を燃やしているのを見た。これを「焼紙(銭)」と言うそうだ。紙を焼いて煙にし、添え物をあの世の親族へ届けるための儀式だ。 都市郊外にある霊園には、広い敷地の中に専用の焼却炉がある。炉にはいくつもの窓口があり、その上に写真を掲げ、その中に添え物を入れて煙にする。実際に果物を焼く場合もあるし、管もをから家電から動産不動産まで印刷された専用の紙を使うこともある。焼き終わったら、写真を外す。 昨年、焼紙にiPhoneが描かれていたものがあったとラジオで聞いた。この焼紙を買いに来た人が、「うちの先祖はiPhoneを使えるだろうか」と聞くと、店員は「スティーブン・ジョブスもあの世にいるから大丈夫。 ただし、ご先祖に面倒をかけないよう、充電器も忘れずに」と答えたとか。 今年の清明節、私は北京を離れることが出来ず、子どもたちと一緒に自宅で(夫の遺影の前に大皿を置いて)焼紙をした。北京の路上でも、夜になると帰省出来ない人たちがこっそり(注:火災防止で公共の場所で自由に火を扱うのはNGのため)焼紙をする光景を見ることがある。 焼紙には紙幣を模した「冥銭」も使うがこれがまた凄い。現在流通している人民元は最高額面が百元だが、冥銭には一億元や一兆元がある。  発行元もユニークだ。表面には「天地銀行」「天堂銀行」などとあるが、裏面には「BANK OF HELL(地獄銀行)」とか「 HELL BANK NOTE(地獄銀行券)」などと印刷されている。これはどういう意図だろう。 もしかして、「地獄の沙汰も金次第」?地獄でこそ金銭が必要だという深い思慮によるものなのか?そもそも、(この冥銭を送られる人は、天国?地獄?)どっちにいるのだろう?知りたいような、知りたくないような…。(おわり)

(おことわり)すべての内容は、当時の個人的な感想です。刻々と状況が変わる北京では、過去の情報は思い出にすぎません。現在の状況とは異なる場合が多いことを予めご了解ください。

投稿者:

nanben

北海道旭川市出身、北京在住。