16:中国のマスメディア

2013年1月15日付け あさひかわ新聞 北京あれこれNo.16

中国に来たことがない人の中には、中国のマスメディアは人民日報と中国中央テレビくらいしかない、と思っている人がいるかもしれない。言論の自由がないのだからマスコミに書かれていることは政府のプロパガンダばかりだろうとか、中国人民は皆、政府発表の情報を鵜呑みにしているだろう、と思う人もいるかもしれない。 私が初めて中国に来たのは1997年で、住み始めたのは翌年だ。当時は中国語が全く解らなかったから新聞を読むことはなかったが、夫の実家にはいつも数種類の新聞があったし、テレビのチャンネルの多さに驚いた記憶がある。 現在北京で良く目にする新聞は、新京報(公称発行部数73万部)、京華時報(83万部)、北京青年報(60万部)などの報道系の朝刊紙のほか、北京晩報(120万部)や法制晩報(60万部)などの夕刊紙もある。 週二回発行でページの多さが際立つ精品購物指南(30万部)は消費世代に人気で、高級ブランドの広告や不動産の広告が多い。他にも文学、経済、軍事などの専門誌と、新聞販売店の窓口には多種多様の新聞が並ぶ。人民日報(300万部)が中央政府の宣伝紙であるという認識は普遍的なようで、「書かれている真実は日付だけだ」と言う人も珍しくない。テレビは、有線で年間百数十元(二千円前後)の視聴料が必要だが、中央テレビ系のチャンネルが15あるほか、各地域でもそれぞれチャンネルを持っている。  例えば北京では北京テレビ台のチャンネルが10あり、他に区ごとのチャンネルもある。他の省や都市も独自のチャンネルがあり、ざっと百数十チャンネルにもなる。 業者を通せば別料金で海外テレビも視聴できる。ネットテレビを導入した我が家では、日本の関東局と関西局、BSも視聴でき、時間さえあれば日本よりもテレビライフを楽しむことができる。 ところが現代のモバイル世代の若者は、新聞やテレビよりもPCやスマートフォンから欲しい情報だけを取り出しているそうだ。溢れる情報の中から、自分に必要な情報を選択し、自分なりのコメントや評価をつける。 その情報はさらに広がってゆく。新聞やテレビから一方的に情報を与えられた時代が終わり、インターネットの普及により誰でも情報源になったり、世論を動かす可能性をもちうる時代になった。 重要なのは、マスコミやインターネット上の情報を鵜呑みにしないということだ。報道には意図的なもの、間違い、一方的一面的なものがあるということを認識しなければならない。新聞に書いてあることを、そのまま真実だと思い込む体質の人は、むしろ日本人の方が多いように思う。(おわり)

(おことわり)すべての内容は、当時の個人的な感想です。刻々と状況が変わる北京では、過去の情報は思い出にすぎません。現在の状況とは異なる場合が多いことを予めご了解ください。

投稿者:

nanben

北海道旭川市出身、北京在住18年、中国在住22年。