88:夏休みシーズン開幕

2016年7月12日 あさひかわ新聞 北京あれこれNo.88
 中国は夏休みシーズンに入った。大学は六月末、小中高校も七月上旬には試験が終わり、九月の新学期までの夏休みが始まる。海外旅行がブームから習慣として定着しつつある中国全土から、今年も多くの観光客が日本を目指す。
 中国人観光客のメインは団体旅行だ。中国では訪日団体旅行のビザが解禁された数年後に個人旅行のビザが解禁された経緯から、今でも団体が半数以上を占めている。ただ、個人旅行へシフトする勢いが止まらないので、近い将来数値は逆転するだろう。
 私のところにも、団体ではなく家族やグループで北海道を回りたいという相談が多く寄せられる。しかし個人旅行となると、飛行機もホテルも通常の価格になるし、専用車のチャーター費用もかさみ、団体と同じルートを回ったとしても倍額以上になってしまう。
 一昨年の冬、札幌発北京行きの飛行機の中で聞いた、後部座席の個人旅行客の会話を思い出す。「北海道って、たいしたことなかったね」。何が不満だったのか聞き耳を立てて分かったのは、友人と二人でガイド付きの車をチャーターした初めての北海道旅行だったが、ホテルでも観光スポットでも、中国人団体ツアーと鉢合わせの連続で、周囲は中国語だらけ、高い料金を払ったのに結局違ったのは車の大きさだけだった。
 皆と一緒だとなぜか安心する日本人とは違い、とにかく差別化と個性を求める中国人が個人旅行をするというのは、北海道の風景や食材、施設のサービスだけではなく、団体旅行では体験できない何かを求めているのだ。
 その最たるものが、現地住民との偶然の出会いと交流だ。六月末、北京から知人の女性とその小学生の子ども(実際には、息子が北京で昨年まで通っていた小学校の同級生とその母親)が旭川に来て一週間滞在した。聞くと、平日はJRで美瑛に行って自転車に乗ったり、常磐公園や嵐山を散策。バスの「いで湯号」で旭岳まで日帰り温泉に行き、帰りはなんとヒッチハイクをしたという。帰途の忠別ダムで記念撮影もして無事に旭川に戻り、とても満足していた。週末には私の息子(現在は旭川で小学生活を満喫中)も遊びに連れて行ってくれた。
 もしあなたが街中で中国人とすれ違ったら、ぜひ「ニーハオ」と微笑んでほしい。免税店や量販店だけでなく、地元の人たちの一言が旭川を一瞬にして親しい街に変える。その偶然が続くと、きっと忘れられない夏休みとなるはずだ。(おわり)