23:鳥インフルエンザ

2013年4月23日 あさひかわ新聞 北京あれこれNo.23

 

先日、訪中旅行を扱う旅行関係者の懇親会に出席した。  日本を代表する大手旅行会社の代表者らが口を揃えて「シマ問題、後を追うような大気汚染、青空が戻った途端にこの鳥インフル、もうどうしたらいいのだ!」と嘆いていた。経費削減は既に限界、人員削減にも着手しなければならない状態になっているそうだ。まあ、今の時期に中国へ旅行する理由がなければ、敢えて来る必要もないのだが、日本の皆さんの脳裏に「中国は危険だ」とくっきり刻み込まれてしまったように思えることが残念でならない。 ここ数日は毎日のように鳥インフル関係の話題も報道されているが、無数に報道されるニュースのうちのひとつでしかない。日本のテレビでは何か話題があると(他に報道すべきニュースは無いのか?と突っ込みたくなるほどに)掘り下げたセンセーショナルな報道をしがちだと思う。 中国のニュースは政府の「国家を混乱させない」という意図が見え隠れするくらいで、普段から(愛国に関する内容以外は)割と淡々と報道しているように見える。もちろん、例外もあるが。 鳥インフル関連の報道を見て思うのは、2002年のSARSのときのような緊張感は見られないということだ。 もし本当に政府が報道規制をしていて偽の安全情報を流していたとしても、ツイッターや微博、口コミなどで隠し通すのは至難の技だ。そちら側で”盛り上がっていない”ことは、報道が概ね現実から乖離していないことの証明とも思える。 逆に日本大使館からのメールマガジンが、「鳥インフルエンザ関連速報」として毎日のように届き、中国国内での感染状況を懇切丁寧に教えてくれている。  17日現在、全国での死亡は17名で、ヒトからヒトへの感染は発見されていないそうだ。 北京のレストランでは鶏肉を避ける客も出ているそうだ。  敢えてリスクに挑戦する必要もないが、気にしすぎると何もできなくなってしまうのも現実だ。先日あった大気汚染関連のセミナーで「肺に良くないので、転職してでも今すぐ中国から離れたほうがいい」と言う医者がいたと聞いて、思わず苦笑してしまった。 大気汚染と鳥インフルで、日本の知人からいただいたお見舞いのメールには、「大気汚染で肺がやられて死ぬ前に、鳥インフルにかかって死ぬ前に、通勤で電動自転車を運転中に交通事故で死ぬ確率のほうが百倍高いです」と返答している。これが現実だからだ。  (おわり)

(おことわり)すべての内容は、当時の個人的な感想です。刻々と状況が変わる北京では、過去の情報は思い出にすぎません。現在の状況とは異なる場合が多いことを予めご了解ください。

22:清明節の「焼紙」

2013年4月9日 あさひかわ新聞 北京あれこれNo.22

今年の清明節(旧暦2月14日)は、4月4日だった。清明節は中国の伝統的な祭日で、元宵(上元)、清明、立夏、端午、中元、中秋、夏至、除夕の八大祭日の一つだ。2008年に法定休日となり、2009年からは土日の振替制度を使った三連休となった。高速道路も三日間、通行無料となる。 清明節は日本のお盆に相当する意味合いが強い。数年前の清明節に義父母の生まれた寒村に行ったとき、土葬で盛り土された墓の前で、紙を燃やしているのを見た。これを「焼紙(銭)」と言うそうだ。紙を焼いて煙にし、添え物をあの世の親族へ届けるための儀式だ。 都市郊外にある霊園には、広い敷地の中に専用の焼却炉がある。炉にはいくつもの窓口があり、その上に写真を掲げ、その中に添え物を入れて煙にする。実際に果物を焼く場合もあるし、管もをから家電から動産不動産まで印刷された専用の紙を使うこともある。焼き終わったら、写真を外す。 昨年、焼紙にiPhoneが描かれていたものがあったとラジオで聞いた。この焼紙を買いに来た人が、「うちの先祖はiPhoneを使えるだろうか」と聞くと、店員は「スティーブン・ジョブスもあの世にいるから大丈夫。 ただし、ご先祖に面倒をかけないよう、充電器も忘れずに」と答えたとか。 今年の清明節、私は北京を離れることが出来ず、子どもたちと一緒に自宅で(夫の遺影の前に大皿を置いて)焼紙をした。北京の路上でも、夜になると帰省出来ない人たちがこっそり(注:火災防止で公共の場所で自由に火を扱うのはNGのため)焼紙をする光景を見ることがある。 焼紙には紙幣を模した「冥銭」も使うがこれがまた凄い。現在流通している人民元は最高額面が百元だが、冥銭には一億元や一兆元がある。  発行元もユニークだ。表面には「天地銀行」「天堂銀行」などとあるが、裏面には「BANK OF HELL(地獄銀行)」とか「 HELL BANK NOTE(地獄銀行券)」などと印刷されている。これはどういう意図だろう。 もしかして、「地獄の沙汰も金次第」?地獄でこそ金銭が必要だという深い思慮によるものなのか?そもそも、(この冥銭を送られる人は、天国?地獄?)どっちにいるのだろう?知りたいような、知りたくないような…。(おわり)

(おことわり)すべての内容は、当時の個人的な感想です。刻々と状況が変わる北京では、過去の情報は思い出にすぎません。現在の状況とは異なる場合が多いことを予めご了解ください。