14:陳言さんの講演会

2012年11月27日 あさひかわ新聞 北京あれこれNo.14

 

親日派ジャーナリスト、陳言さんの講演会に行ってきた。陳さんのブログ「素描日本」は合計1800万のページビューがあるそうだ。 歴史、経済、政治そして文学と、さすがに話題が豊富だった。彼の言葉は、日本や日本人への共感と希望、共存共栄してゆく未来への期待に溢れていた。もちろん150人の日本人参加者を前にしたリップサービスの可能性もないではないが。 中国では習近平総書記による新体制がスタートした。 陳さんは習総書記について、「日本に対して友好的な気持ちを持っているはずだから、日本のマスコミはむやみに批判すべきではない」とコメントした。陳さんは青年の頃に日本の若者との交流会に参加した経験があり、それがきっかけで日本や日本人に興味とともに好感を持ったそうだ。その交流会には(若き日の)習総書記も参加していたらしい。「潜在的な親日派に対し、日本のマスコミも世論も不用意に批判するのではなく、冷静かつ好意的な態度で見守るべきだ。日中両国、更にはアジアの近隣諸国が共存発展してゆくことを願い、信じ、支えてゆきべきだ」というのが陳さんの主張だった。 陳さんの話に笑った場面もあった。江沢民時代には、愛国教育として抗日映画が多数放映されていた。テレビをつけるとニュースか、京劇か、抗日ドラマの三択しかなかった時期があった。胡主席になり、確実に路線は変わったが、それでも抗日ドラマは少ないながらも存在している。それはなぜか?「アメリカ、ロシアや他の国との戦争ドラマなら外国人キャストが揃いません。どんなにメイクをしても中国人がアメリカ人、ロシア人に化けるのは困難です。その点をクリアできるのは抗日ドラマだけ」。それだけが理由ではないことは誰もが知っていたが、ユニークな視点に会場がどっと湧いた。 陳さんも触れていたが、青年や学生など若く多感な世代の交流は、きっと私たち大人の責任として推進してゆくべきなのだろう。 反日や反中行動をする人の多くは、相手国に一人の知人もいないか、情のこもった交流を経験したことがないはずだ。だからマスコミ経由の(限定された)情報に左右されてしまうのだ。 修学旅行やホームステイで北海道により多くの子どもたちを送りたい。そこでドサンコの友達をたくさんつくってもらいたい。お互いに刺激を受け、将来への絆と信頼関係を育んでもらいたい。帰路にそう願わずにはいられなかった。(おわり)

(おことわり)すべての内容は、当時の個人的な感想です。刻々と状況が変わる北京では、過去の情報は思い出にすぎません。 現在の状況とは異なる場合が多いことを予めご了解ください。

13:北京で初雪

2012年11月13日 あさひかわ新聞 北京あれこれNo.13

 

11月4日未明、北京に初雪が降った。高速道路の一部は積雪のため封鎖され、郊外では50センチもの大雪になった。交通は麻痺し、雪に埋まった車を武装警察が救助する様子を、テレビが繰り返し流していた。 この週末に雪が降ることは、随分前から予報が出ていて、テレビでも新聞の一面でも注意を呼びかけていた。そのせいか、例年は11月15日に正式スタートする集中スチーム暖房が、今年は3日から、一部の建物はそれより前に始まっていた。暖房の開始日は、専門家や関係者が会議で検討して発表する。寒くなると皆がこの情報に敏感になる。なんとも社会主義的である。 こちらのスチーム暖房(中国語では、暖気、暖気管と呼ぶ)は、エリアごとに一斉供給される仕組みで、事務所や学校などあらゆる建物に設置されている。新築マンションは、内装のないコンクリート打ちっぱなしの状態で販売するのが普通だが、暖房は水道や下水設備と同様、最初から設置されている。  暖房料金は居住面積に比例する。 私の自宅ではひと冬(四ヶ月間)で約3700元(約4万7千円)を支払う。 98年当時住んでいた河北省のアパートでは、隣人が暖房費を払っていなかったために、アパート全体が暖房供給をストップされたことがあった。当時のエアコンは暖房機能がなかった(冷房だけだった)から、家の中で家族全員が震えながらオーバーを着ていた。 水道から出る水が氷のように痛かったことが今では懐かしい。 現在では、北京政府の人道的配慮で、暖房費が未納であっても、住人がいれば、、暖房供給のストップはできなくなった。生活レベルはもちろん、行政サービスも確実に進化している。 ところで、この最悪の天気のときに、大雪山系トムラウシの悲劇を彷彿させる事件が起こった。 誰かを責めても仕方がない。異国の地で寒さに凍えた遭難者の冥福を祈るとともに、吹雪の長城で深夜未明から捜索にあたった150人もの救援隊員に感謝することのほうが重要だろう。(おわり)

(おことわり)すべての内容は、当時の個人的な感想です。 刻々と状況が変わる北京では、過去の情報は思い出にすぎません。現在の状況とは異なる場合が多いことを予めご了解ください。