3:「北海道」で攻める〜北京国際旅遊博覧会〜上

2002年6月26日付 あさひかわ新聞 北京あれこれNo.3

6月15日から17日までの三日間、「鳥の巣」で有名なオリンピック公園内の国家会議センターで、「第9回北京国際旅遊博覧会」(通称: BITE)が開催された。  主催者の発表によると、業界関係者で4万人、一般で10万人の入場者を数えたという。 世界各国の政府系観光局や航空会社等が出展して、観光のイメージアップやプレゼント作戦を繰り広げた。 日本は、日本ブースエリアとして護送船団式で出展する自治体と、単独でブースを出した自治体があった。 ちなみに旭川市は出展していない。 札幌市が単独で出展した「北海道・札幌」ブースでは、札幌市や(道)観光機構が製作した北海道を紹介するパンフだけでなく、「北海道ツアー情報セット」として、各旅行会社が実際に販売中の北海道ツアーパンフを集めて一緒に配布した。 旅行会社のパンフには具体的な料金や日程表がある。それらを見比べて自分に合ったツアーに申し込んでもらおうという作戦だ。来場者からは「北海道に行くならどの季節がいいの?」とか「ラベンダーは何月が見頃?」「何泊でいくら?」という具体的な質問が目立った。 もはや札幌市だけではカバーできない情報が求められている。 夏の北海道ツアーは、やはり富良野のラベンダーが最大のセールスポイントだ。 しかし、中国の旅行客にとっては、それが中富良野だろうと上富良野だろうと、どうでもいい。 全部まとめて「北海道」なのだ。 札幌は札幌、旭川は旭川などというなかれ。たとえ4泊しかない日程でも、札幌だけ観光というのはあり得ない。6日間、7日間のツアーとなると尚更だ。 お互い仲が悪いとされている九州勢が、「対北海道」では連携している(実際の敵は、ヨーロッパだったり北米だったりするのに)。狭い日本、もっと狭い北海道、おらがまち主義でなく、自治体どうしの連携と協調をベースにした戦略がなければ、世界が狙う中国の巨大マーケットでは太刀打ちできない。それを危機感を持ちながらしっかり認識しているからだろうか、札幌市のブースには、上海にある道の事務所からもスタッフが来て、一緒に質問に答えていた。 (つづく)

(おことわり)すべての内容は、当時の個人的な感想です。刻々と状況が変わる北京では、過去の情報は思い出にすぎません。現在の状況とは異なる場合が多いことを予めご了解ください。

2:「富裕層」という言葉

2012年6月12日発行 あさひかわ新聞「北京あれこれ」No.2

日本で「中国の富裕層向け」という言葉をよく聞く。観光PRや物販その他、あらゆる中国ビジネス関係者たちの重要キーワードになっているようだ。米のコンサルティング会社・マッキンゼーが2009年の報告書で富裕層の世帯年収を25万元(約325万円)以上と定義した。この金額が後に日本行き個人旅行ビザ発給の対象基準となり、年収25万元イコール富裕層を印象付けた。しかしその数年前に、テレビのトーク番組でアナウンサーが「年収5万元から50万元が中間層である」と断言していたのを覚えている。なんと層の厚い中間層であろうと驚いた記憶が鮮明に残っている。 公称10%前後(実質2〜3割と実感)で増える給与水準と生活物価を踏まえると、2012年の今現在、富裕層と呼べるのは、年収100万(1300万円)以上、資産1000万元(1億3000万円)以上が最低ラインだ。富裕層の他に「裕福な中間層」というくくりもある。これまでに団体の訪日旅行に参加して日本の品物を買い漁った人はおそらくこの層に含まれる。富裕層と呼ばれる人々は団体旅行を避け、友人や家族だけで勝手気ままな旅行を楽しんでいる。日本人が漠然と富裕層と呼んで想像しているのは、実際にはこの「裕福な中間層」なのではないかと思う。富裕層の行動パターンは、富に縁のない私の想像を超える。2005年に「ピカソは1枚欲しかった。 3000万円までなら買うつもりだった」と予算の3分の2、2000万円でお安く(?)落札した北京で会社を営む三十代の女性の発言は衝撃だった。 富裕層の年収や資産は、我々の理解を超えたスピードで膨張してゆく。彼らをターゲットにするつもりなら、その嗜好や特異性を真剣に研究すべきだ。彼らは「特別」「唯一」「独自」「最高級」「自由」「勝手気まま」などの言葉で表現されることが多い。ただしそれぞれが強い個性と感性を持つようで、十把一絡げには定義しにくい層だ。 北海道の恵まれた自然が、彼らを引きつける魅力を持っているのは確かだ。しかし、彼らを満足させ、”惜しみなく消費してもらう”ためには、さらに周到な配慮が必要だ。日本人のサービスレベルとホスピタリティ、技術と知恵を存分に生かす必要がある。 「富裕層の皆さん来てください」とただ繰り返すのでは、話にならない。(おわり)

(おことわり)すべての内容は、当時の個人的な感想です。 刻々と状況が変わる北京では、過去の情報は思い出にすぎません。現在の状況とは異なる場合が多いことを予めご了解ください。