十勝豚丼店・北京に進出

2020年9月8日 北京あれこれ(141)

 このコラムは二〇一四年一月から連載させていただいている。忘れもしない最初の記事は「北京で感じる北海道 日本式焼肉店 松岡」だった。松岡はソラチのタレを使った焼肉や豚丼が人気で、支配人が旭川人ということもあって、ドサンコ仲間はもちろん、特に旭川関係者が集まるときの絶対的拠点だった。肉が苦手な私ですら、まるで家族か出資者のように頻繁に通わせてもらった。

 しかし、松岡で支配人をしていた友人が今年一月に日本に帰国、。の後はコロナの影響もあり閉店してしまったため、私をはじめ多くの仲間が喪失感を抱いていた。

 ところが、長年松岡を足掛かりにして北京内外でソラチのタレを普及させていた李東さんから、北京の原宿とも言える西単エリアで十勝豚丼店をプロデュースして、試営業を始めたと連絡が来た。

 八月十四日、北海道関係者に試食をしてもらいたいとのことだったので、五人の北京北海道人会の仲間と訪れた。彼らは、かつて松岡で何度も会合を重ね、男山で乾杯・ジンギスカン食べ放題・締めの豚丼を一緒に楽しんだ厳選メンバーだ。

 李さんによると、コメはコシヒカリ、仕入れの肉は厳選した上物だけ 八百五十度まで急速加熱ができる特注グリルで香ばしく調理、そして最後はソラチのタレを使った王道の味付け。コストがかかっても一流の品を提供したいそうだ。「松岡ロス」により、本格的な豚丼の味を恋しく感じていたことや、三密回避のため定例会合開催を見合わせている道人会メンバーと久しぶりに会えたという背景もあって、試食会では「感動」という言葉まで飛び交った。一方で率直な意見(例えば、コメをななつぼしか、ゆめぴりかへ変更など)をまとめ、李さんに提案した。

 李さんは、味に関しては安心したようだったが、厨房もホールも全員が新人なので、効率やサービス提供の面で不安があると言った。食材や設備だけでなく、一等地にある人気モール内への出店なので、家賃コストも半端でなく、一日あたり百五十人の集客がないと黒字にならないそうだ。店内は五十席ほどなので、ランチかディナーで二回転させるためには、手際良くサーブしなければならない。ハードルは高い。

 二度目は一週間後、本場・帯広出身の友人と遅めのランチに行った。彼も味には大満足、ビジネス人脈を紹介してくれることになった。この日は嬉しいことに、ランチタイムに会社から地下鉄やタクシーで来たという道人会メンバーに次々と遭遇した。そして、モール内で買い物を楽しむ若者も興味津々な様子で暖簾をくぐってゆく。十二時半には満席となり、順番待ちも出た。結局、この日は目標の百五十人の集客をクリアしたそうだ。正式オープンも宣伝もまだなのに、目標クリアは凄いことだ。

 今年は、友人知人のレストラン閉店が相次ぎ、私自身のホステルも撤退交渉と労使交渉が難航中。フライトやビザの関係で北京に戻れない友人知人もまだ多い。そんな状況下、北海道関係者が直接関わる「本格的な北海道の味」の出現は、多くの関係者に希望を与えたに違いない。

投稿者:

nanben

北海道旭川市出身、北京在住18年、中国在住22年。